優しすぎて損をしてしまう自分へのお守り ── 自分との関係性をつなぎ直す旅路
小さな冊子『「優しすぎて損をしてしまう」自分へ』を手にしてくださり、本当にありがとうございます。


この頁(ページ)を開いてくれたあなたは、きっと、日々の暮らしのなかで、誰よりも誠実に、誰かの痛みを自分のものように感じながら、懸命に生きてこられたのではないでしょうか ──
── 嘘をつかない。
── 約束を守る。
── 相手の気持ちを察して、先回りして動く。
きっと、それは人間としてとても清らかで、美しい在り方なのではないかと思います。
それなのに、外の世界に一歩出ると、声の大きい人が通り、平気で嘘をつく人が得をして、優しくて真面目なあなたばかりが、理不尽な重荷を背負わされてしまう …
「どうして自分ばかりが、こんな目に遭うのだろう …」
「私が弱いのかな。もっと要領よく生きなければいけないのかな …」
そんな風に自分を責め、のたうち回るような悔しさを抱えた夜が、これまでに幾度あったでしょうか。
私は、三十年という泥濘の旅路のなかで、自らの清らかさゆえに傷つき、遭難しかかっている多くの魂に出会ってきました。
だからこそ、最初にこれだけは、どうしてもお伝えしたいのです。

私たちがこれまで「損をしてきた」と感じるすべての出来事は、かならずしも私たちが未熟だったからでも、弱かったからでもないのではないでしょうか。
もしかしたら、世界に対してどこまでも「誠実」であり続けようとした、何よりの証拠なのではないでしょうか。
ただ、その温かな眼差しの行き先が、ほんの少しだけ、外側の世界に偏りすぎていただけなのかもしれません。

他人の不機嫌をなだめ、誰かの期待に応えるために、自分自身の命の器が、空っぽになって擦り切れている状態に、気づくゆとりがなかっただけなのかもしれません。

今日からは、外側の誰かを守るために使ってきたその大切な優しさを、まずは、世界で一番置き去りにしてきた「自分自身」のために、ほんの少しずつでも、お返ししていきませんか ──

この『自分へのお守り』は、あなたをどこかへ導くための教科書ではありません。

効率や成果を求める社会の重力から静かに離れ、傷ついた呼吸を調えるためのシェルターです。
これから、驚くほどゆるやかな速度で、暮らしの隙間にそっと言葉を置いていきます。

── 最後に、一つだけ、大切なお約束をさせてください。
もし、新しく届いた手紙を読む気分になれないときは、数ヶ月の間、あるいは一生、この頁を開かなくても、ここの凪は一寸も変わりません。
早く良くならなければと自分を急がせる刃を、まずはこの場所に置いていってください。
あなたがただ、そこに在る(Being)だけで、ここはいつでもあなたを歓迎しています。
少し長くなってしまいました。
今日はこのあたりで、そっと頁を閉じ、日常の柔らかな呼吸に戻ってください。
明日も、穏やかな夜明けが訪れますように ──

鍵のないポスト ── 自分への手紙を置いておく場所
※この場所は、あなたの言葉をただそのまま、誰にも汚されずに置いておくための「静かな引き出し」です。
司書がすべて大切に目を通させていただきますが、個別のお返事は届きません。
お返事を待つという新たな焦燥(サバイバル)から離れ、どうぞあなたの心に嘘のない言葉を、ここにそっと置いていってください。
夜明けの図書室・司書
村田 敦(つとむ)



